耐震偽装

今回の偽装問題は氷山の一角だから全国のマンションを再検査しろとか言ってる人がいるらしいが、どうなんだろう。3000 億くらいかかるそうだ。こうなってくるとどことなく BSE の全頭検査と同じ匂いを感じる。…とここまで書いてきたら結城さん(aka id:hyuki)の記事が目に留まった。
「セキュリティシステム、テクノロジー、プラクティスを分析・評価する5つのステップ」

  • ステップ1: あなたが守ろうとしている「大切なもの」は何か。
  • ステップ2: その「大切なもの」はどんな「危険」にさらされているか。
  • ステップ3: そのセキュリティシステムはその「危険」をどれだけうまく軽減してくれるか。
  • ステップ4: そのセキュリティシステムが「新たに生み出す危険」は何か。
  • ステップ5: そのセキュリティシステムに支払う「対価」と「トレードオフ」は何か。

Bruce Schneier といえば Applied Cryptography の著者として記憶していたが、こんなことも言ってたんですね。大変示唆に富む指摘だと思う。
このところリスクコミュニケーションということがよく言われるが(環境リスク研究の第一人者、中西準子氏はこの言葉がお好きではないそうだが)、コミュニケーションの受け手たるわれわれ一般消費者は単に情報を鵜呑みにするだけはダメで、これくらいのリテラシーを持っていないといけませんね。
上のチェックリストはセキュリティシステムに限らずリスクに関連するあらゆるケースに置き換えが可能だと思う。BSE の全頭検査でもタミフルでも今回の構造計算の話もそう。マスコミはせいぜいステップ 2、よくて 3 くらいまでしか報道してくれないので、そこから上のステップは自分で考えないといけないが、今は幸いなことにインターネットがある。信頼できるソースがあれば、インターネット上のどこかの叡智が 4 と 5 レベルの(ずばりの解答ではないにしても)判断のヒントを与えてくれる。
問題は信頼できるソースが出てこない、出てきにくいと言うことで、この辺が中西氏の憂慮されているところでもあるようなんだが…。