細川日記
古本で買ったままずっと読んでなかったが、ここのところ電車で読んでいた。
いやぁ面白かった。著者が終戦間際にいろいろ動き回っていたことはさまざまな本に出てくるが、さすがに本人の書いたものを読むとこれまで分からなかったことがよく分かった。
いかに近衛の娘婿という立場だったとはいえ、当時30歳そこそこの著者がよくそこまで動き回って終戦工作に画策できたものだと思うが、これはやはり人物を見る目の確かさというか鋭い批評眼があったからこそという気がする。
東条や木戸といった人物はあからさまに罵倒しているし、はっきりとは書いていないが義父の近衛に対する批判がましい記述もある。昭和天皇に対しても、筋を通そうとするあまりに木戸を通さないと話を聞こうとしないあたりを歯がゆく思っていたようだ。
しかし著者にしてもさすがに鈴木貫太郎の肚までは読めなかったようである。相当後になるまで彼の和平への動きに気付かなかったのは意外だった。
細川日記 上 改版 中公文庫 B 1-35 BIBLIO20世紀
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