ヘッドホンアンプ弄り

このところ DAC の I/V・LPF に使う石を取っ替えひっかえしていたが、どの石を使ってもヘッドホンアンプ側で音量を上げたときに音が混濁するというか団子になる傾向があり、やかましい感じになって聴きづらいことがあった。まず DAC をなんとかしてからヘッドホンアンプ側をいじろうと思っていたため後回しになっていたが、DAC 側もひと段落ついてきた感じなのでそろそろ手をつけようと思う。
前にも書いたとおり構成はシングルの OPAmp + 簡易型 Walt Jung 式ダイアモンドバッファだが、現用の OPAmp は OPA627BP なのでまず文句なし。となるとバッファ側の石を換えるのが一つの手だ。バッファ部は IC ソケットを利用して石とアイドル電流調整用の抵抗を簡単に差し替えられるようになっているのだが、これまでバッファの石は換えていなかった。現状は初段が 2SC2856/2SA1191、二段目が 2SD669/2SB649 を使っているが、まずはヘッドホンを直接ドライブしている二段目から石を換えるのが筋だろう。
さてここにどの石を持ってくるか。2SC3421/2SA1358 あたりが妥当な線だし、結構な数を手持ちしているから(なにせ @30円だったし)ちょうどいいのだが、TO-126 の同じような石を持ってくるのもつまらない。
ということで、思い切って NEC の TO-220 の石、2SC2336/2SA1006 を使ってみることにした。ランクは同じだが、前に実測したときには NPN と PNP で Hfe が倍近く違っていた。まあエミッタフォロワなのでそんなに問題はなかろう、と判断して挿し替えてみることにする。足が BCE の配列なのでこれまでと反対向きに挿さないといけない。出力に DC が出ていないことを確認してヒアリングに入る。
…これまで聴いていたのは何だったの、というくらいの違い。もっと早くこの石を試してみるんだったと後悔する。
ボリュームを上げたときに D669/B649 では表現しきれなくて塊になっていた音が、C2336/A1006 では悠々とほぐれて出てくる。繊細さも豪胆さも併せ持つというか D レンジが広いというか。ヘッドホンをしっかり制動して、空気感もパルシブな音もストレートに出してくる感じ。いやー、終段の石でこんなに違うとはね。びっくりしました。DAC に使う石のほうもこれで一度聴き直した方がよさそうだ。
ただ、Tr をそのまま換えただけなので Vbe の違いからアイドル電流が流れすぎていたようで、石がチンチンに熱くなっていた。実測してみたら 50mA 強。こんなに流す必要はないので、初段のコレクタの抵抗を 5.6K+47 ohm から 5.6K+18 ohm に換えたところ 20mA 強で落ち着いたのでこれでよしとする。
思わず電源を切り忘れて寝てしまったが、朝確かめてみたら大して熱くなってはいなかった(45℃程度?)ので問題なさそう。