早慶戦

早慶戦を観戦しに秩父宮まで出かけてきた。久しぶりにメインスタンド側での観戦。しかも最前列。目の前でプレーを見るのはさすがに迫力がある。
前半はいかにも早慶戦という締まった試合。慶應の気合の入ったディフェンスに対して早稲田が攻めあぐんでいるように見えた。慶應のプレッシャーがほんの一瞬緩んだすきに早稲田が先制トライを挙げたが、その後も力は拮抗しており、ロースコアの試合となるかと思われた。前半終了間際のそのプレーまでは。
早稲田ゴール前、慶應ボールの 5m スクラムを早稲田が押してターンオーバー、ラックからの連続攻撃で敵陣までゲインして 3 番畠山が抜け出し、忠実にフォローしていた 2 番の青木につないで中央にトライ。これは痺れた。フロントロー二人が絡んでトライというのはめったに見られるもんじゃない。
このトライと後半最初のペナルティトライで勝負が決まってしまった。慶應も必死にゴール前まで攻め込むものの、早稲田の執拗なディフェンスの前にトライを奪うことはできなかった。首藤だったと思うが、2 対 1 の局面でタックル一発でトライを阻んだシーンは早稲田のディフェンスへの執念を感じさせた気がする。
試合が終わってグランドを眺めていると、清宮監督がスタンドにいたお子さんに何か声をかけてい。しばらくすると監督がスタンドまで上がってきて、私のすぐ目の前でお子さんを抱っこして報道陣の写真に納まっていた。勝負師も勝負が終われば子煩悩なパパだったみたい。奥さまもいらしたようで(美人だった)、家族で観戦に来ていたらしい。毎年観戦していて思うが、早慶戦というのは雰囲気が実にいい。選手も全力以上の力を出そうとするし、観客のマナーもよい。試合後にスタジアムの外に出て早慶のオールドファンが互いに挨拶を交わしているのを見ると、こちらも気持ちがいい。まさにノーサイドの精神というか。伝統の重みというのはこういうところに出てくるものなんだろう。ラグビー界の、いや日本のスポーツの至宝ともいうべきカードだと思う。