ラグビー日本選手権決勝

東芝府中 6-6 NEC
ゲームとしては雨の影響でハンドリングエラーが多くレベルの高い内容とまでは行かなかったが、試合終了間際の攻防は実に見応えがあった。モールにこだわって攻める東芝と必死のディフェンスの NEC ががっぷり四つに組み、見ているこっちも力が入る。東芝は再三堅いパックでモールを組んだが、NEC が反則を犯さず(一つだけあったが)ディフェンスしていたのが素晴らしい。どうしても横から入りたくなるところをまっすぐ入り続けて東芝の重圧をよく止めていたと思う。最後の最後、ついに東芝が押し切ったかと思ったがインゴールでノックオン。6-6 の同点で両者優勝となった。
今日の試合は NEC のディフェンスを讃えるべきだろう。後半ロスタイムの攻防もさることながら、東芝にプレーの継続を許さないディフェンスを続けていた。
東芝ラインアウトはほとんど確保したもののその後の攻撃に決め手を欠いた感がある。三次か四次以降の攻撃ではボールを相手に渡すキックを選択せざるを得なくなり、NEC はそのボールをタッチに蹴って東芝ボールのラインアウト、というプレーが何度も繰り返された。将棋でいう千日手、手詰まりの状態。また、東芝は二つ失敗した PG のうち一つ決めていれば勝ち越せていた勘定だし、マーシュがシンビンで退出していた間に点を取りきれなかったのも痛い。どちらかといえば東芝が勝ちきれなかったという試合だろう。
しかしそんな小ざかしい批判を超越する何かがこの試合にはあったと思う。ノーサイドの笛の直後、両チームの選手が笑顔で握手をかわし抱き合う姿が実に良かった。死力を尽くして戦った相手を讃えあう姿はまさにノーサイドの精神にふさわしくすがすがしかった。表彰式も両チームから選手が出てきて、一緒に受け取ったトロフィーを掲げていたし、両チーム一緒になっての記念撮影も実に楽しそうだった。
これで長かったシーズンも終了する。今シーズンはほとんどスタンドで観戦できなかったのが残念だが、春から夏にかけては日本代表の試合が立て続けにあるから、こっちも楽しみだ。